エクステリアのデザインを方向づける主な方法
① 開放と閉鎖
空間の計画にとって、ある場所を決定づけ、人に印象を与える要素として
広さと狭さの間隔があります。
物理的な面積や距離以上に、開放的な視覚の広がりとして感じる空間と、
それに対して洞窟の中のような閉塞感を感じる空間とでは印象が異なります。
高い塀と門で構成された道路境界に対し、緩い傾斜の芝面に植栽を点在させた
道路境界では、全く異なった空間の印象を持ちます。
これは視覚による所が大きいですが、音の反射や空気の動きや流れなどにより
五感で感じられるものです。
② (平面を)曲げる、(レベルを)変える
外から人が受ける情報の80%は視覚によるものといわれています。
視線がぶつかり視界が塞がれれば、見る方向を転じるのが人の動きです。
塀に突き当たれば左右に目を転じ、開放感のある方角に人は動き、そこで
違った景色を目にします。 わずかな段差の上り下りでも人の視覚は変化し、
見上げたり見下ろしたりします。 これも景色を変化させるきっかけになります。
周囲より低いポイントからは見上げる視界となり、高いポイントでは見下ろし
周囲の展望を期待します。 スケールの大きな計画では借景などの手法に
発展します。
③ 明示と曖昧さ
境界・境目をはっきりと明示することにより、空間はすっきりと際立つ表現になります。
金属材料などでシャープに切り取る建物の輪郭や屋根の輪郭(スカイライン)と、
自然石や植栽などの不規則な輪郭は、対極にあるデザインです。
澄み渡る青空に対し霧に霞む景色に例えることができます。
また、曖昧さは室内とも屋外とも感じられる中間的な空間にも通じます。
④ 対比
遠近、明暗、強弱、均衡とアンバランス、といった対比関係により、空間を変化に富んだ
景色を創りだします。
⑤ 透かし
フィルターを通した視界の開放が空間の“質”に変化を生みます。
格子、すだれ、若葉の梢越の景色、新しい材料では大画面のガラス、などの効果により
開放感や清涼感を生んでいます。
⑥ 回遊性
洋の東西を問わず「回遊式の庭園」が歴史的な名園としてあります。
庭園を人が自らの身体で移動しながら感じる庭です。 移動にともない、日の光、
梢の影、風と緑、さまざまな景色の移ろいを楽しむ庭です。 この回遊では上記で
触れた①から⑤のデザイン手法が駆使されています。
一般住宅でも“自らの身体で移動しながら感じる”ことはエクステリアの基本的な
考え方であり、小さなスケールの計画にも生かすことができます。
あらゆるエクステリアの計画にこれらの方法は応用されます。