花・実・紅葉(黄葉)を楽しむ樹木
樹木の選定を行う際には、さまざまな要素を考え合わせた上で樹種を定めるものです。
それらは常緑・落葉という要素だけではなく、美しい花を咲かせる樹木、実を付ける樹木、
紅葉(黄葉)を見せる樹木など、人にたのしみを与える要素は樹木選定にも大きく影響します。
花・実・紅葉は、樹木それぞれに異なっていて、個性ともいえるものですが、植栽のデザインは
それらの個性をいかし、組合せ、景観的にまとめ上げることで、その景観に季節ごとの彩りや
楽しみを織り込んで、人の生活の舞台となる庭をつくり出すことが大切です。
樹木類の大部分は、花を咲かせ実をつけ、落葉広葉樹の紅葉もまたそれぞれに色づきます。
しかし、エクステリアで花や実や紅葉というときには、それらが鑑賞の対象になり得る魅力を持つ
花であり、実であり、紅葉の鮮やかさであって、美しい花を咲かせる樹木は花木と呼ばれ、食用と
なる実をつける樹木は果樹といわれ、それぞれ区分されます。
花木類
花は植物の持つ魅力のなかでも、最も強く人をひきつけます。
そのため現在では門まわりのシンボルツリーや庭の主木をはじめ高木・中木
低木に至るまで、花の咲く樹木が使われている例は多く、これらの花木は春・夏・秋・冬それぞれの季節を象徴する存在であり、こうした季節感は日本の歴史文化の中で花暦として完成し、現代にも受け継がれてきた文化感覚といえるでしょう。 また花は、人の個人的歴史の中において、時に記憶と強く結びつくこともよく知られています。
特定の花を毎年見るたびに、何らかの記憶が呼び起こされることは多くの人が経験していることで、それに
伴って特定の花を好んだり、反対に嫌いになったりする反応も生じます。
花について人が持つ好き・嫌いという感覚は、ほとんど人に説明しても理解されないことが多く、
それは客観的な価値観というよりは人それぞれの持つ主観的価値観に基づいていると考えられます。
花木はこのような意味で、人の精神的な部分に関与する場合もあり、単に景観的な彩りや季節感とだけ
割り切ることはできません。 植栽の選択に際し、設計者の判断のみならず、施主の意向が強く影響を
及ぼすことが多いのもこうした理由によります。
これも植栽設計のひとつの特長といえる点です。
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