擁壁って・・・
擁壁って 何?・・・
擁壁とは高低差のある宅地の土砂が崩れないようにするためのコンクリート構造物を指します。その高さが2Mを超えますと建物と同じように確認申請が必要となります。当然ですがそのときには構造計算をして設計します。
ところが2M以下になりますと多くの業者は構造計算をしていません。たぶん、経験から数値を出して設計しているのではないでしょうか。これでは、強度的に大丈夫なのか心配になってきます。また、逆に過度な設計で余分な予算が取られてしまったりします。しっかりとした構造計算をして最も経済的で丈夫な擁壁を計画していただきたいと考えます。
ついでに、構造計算の内容をお話しておきましょう。擁壁の構造計算では次の3つの内容を検討します。
1つ目は「転倒」です。擁壁が土圧で転んでしまわないか検討します。通常の擁壁はアルファベットのLの字の形をしています。立ち上がりの垂直な壁と地面に接している底版とでできています。
底版は土圧のかかる方(敷地の高い側)に伸びているのが一般的です。よくお客様でお隣の高い敷地を擁壁で崩れないようにしたいという方がいらっしゃいます。底版が高い方に必要となりますので境界いっぱいには作れないのをご存じなくて説明に苦労することがあります。そんな理由で造成地の擁壁は敷地の高い側の所有物となります。
2つ目は「滑動」です。擁壁が土圧で動いてしまわないか検討します。あんな重いものが動くなんて想像できませんが土の質などによっては動いてしまうこともあります。
3つ目は「地盤支持力」の検討です。擁壁を作る地盤が擁壁自体の重さと土圧に耐えられるか検討します。
あと1つ計算で求めるものがあります。鉄筋量です。コンクリートは圧縮には大変強い性質があります。しかし、引張りには非常に弱い欠点があります。その欠点は鉄筋を入れることによって補われます。鉄筋コンクリート構造物は性質の違う2つのものがお互いの欠点をカバーしているたいへん優れたものです。その鉄筋の量をどのくらいにしたら大丈夫なのか計算します。
この計算をしませんと経済的で丈夫な擁壁を作ることはできません。